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カメオ出演の正否。
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    (2013-03-13)
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    今、『トールマン』というサスペンス映画を冒頭10分くらいのところで一時停止させています。ふと、なんでなんだろう? と常々疑問に思っていたことに回答のひとつを見つけたような気がしたからです。

    この映画は炭鉱の町が舞台です。炭鉱の町といっても閉山後のさびれた田舎町です。この町ではある時期から子どもが失踪する事件が相次ぐようになりました。ほんのちょっと前まで子ども部屋にいたり、であそんでいたりした子どもがなんの痕跡も残さずにいなくなってしまう。叫び声はおろか言い争う声もなく、子どもたちは忽然と姿を消してしまいます。当然目撃者だっていません。ただ不審人物は見掛けられていてその正体不明の犯人と目される男を住人たちは誰からともなく「トールマン」と呼ぶようになりました。

    そして、ある日……と、まあ、『トールマン』の冒頭はこのような感じで比較的淡々としたトーンですすめられます。そのなかに住人らしき老婆がテレビインタビューに答えているシーンがあり、「知らない男が森にはいっていくところを何回か見かけたよ」みたいな話をさも忌々しそうにします。その老婆がなんとも雰囲気のある、胡散臭げな、ある種の陰湿さのただよう老婆で、ほかのどんな洋画でも海外ドラマでも見た記憶のない方だったにもかかわらずかもしだす雰囲気とも相俟って演技も秀逸で……そこではたと思いあたったわけです。

    だから洋画と邦画を比べると格段にあたし、洋画を見ているんだわ、と。

    これは国内の役者さんが下手だとか、海外のほうが役者の層が厚いとかいう類の話ではありません。そんな失礼なことはまったくかんがえてないです。苦の役者さんは××にでていた〇〇さんだわ、とわかってしまうかしまわないかが映画なりドラマなりの作品に貢献しているところはかなりあるのではないか、という話です。

    例えばもたいまさこさんあたりがテレビドラマでチョイ役ながらも味のあるおばあちゃん役なんかで友情出演していたらおおー……と観客としてこんなところでもたいさん見ちゃった、というお得感を感じ更にその配役の妙に感心するものの、それと同時にドラマ自体はちょっぴり損をしているとあたしは思うのです。

    海外ドラマを見ているときに、あるいは洋画を見ているときにそういった役どころになにに出演していた誰なのかまったく知らない相応の年齢の役者が味のある演技を見せてくれるとそのシーンは格段にリアリティを増します。あるいはコメディなら滑稽味がまします。要するに作品の空気感にたいしておおきくプラスにはたらくのです。

    前出の例でいえば、もたいまさこさんというフィルタがかからない状態で観客としてのあたしはそのシーンと向きあえるわけです。

    その方が作品にとって都合のいい場合も少なくからずあるわけで……もともとあたしは芸能人、有名人と呼ばれる方々のお顔覚えるのがおそろしく苦手なのですが、 海外の芸能人有名人となればそれはもういっそうおそろしく苦手なわけで、そうやって体感としてどこの誰とも知らないひとのハイスペックな演技でたまされればおのずと同内容のソフトウェアでも海外ドラマの方がたのしい、おもしろい、興味をひかれる、という体感が残るのはむしろ必然の帰結でもありました。

    もちろんカメオ出演は観客へのサービスだとわかっていますし、自分もたのしめることがおおいです。それでも、映画なりテレビドラマなりのソフトウェアを純粋にたのしみたいとき、それが名のない役者の演技として観客としてのあたしに訴えてくるか否かはリアリティや作品の空気感を得るためには大切になってくる。だれだってレストランで食事をしているときに有名人と臨席になったらちょっとトクをした気分にはなるでしょう? それに近いのです。トクはするけれども、そのときから余計なフィルタが一枚かかって有名人××さんと共にいるレストラン、にそのお店はなってしまう。それは料理の味を純粋にたのしむのにはいささか障害になることが想定される、という話です。

    以上のような話を踏まえるとき、できればひとつ作品を見終わったあとに、あのしぶい役者が××さんだったなんて……! という驚きにつつまれたい、と思ったら高望みでしょうか?

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